【結論】目標達成に必要な新規会員数の数についての回答例がわかる。
ケース例題31:あなたは大の野球ファンであり、マンハッタンのビジネス街の近くで、会員制のバッティングセンターを経営している。このバッティングセンターには6つのバッターボックスがあり、メンバー会員は好きな時間にバッターボックスを予約できるシステムとなっている。ある日、営業担当役員があなたのところに来て、来年度における新規会員の獲得目標を何人にすれば良いか相談してきた。あなたは、前年度の新規会員数が200人であったことを知っている。一方で退会した会員もいたため、これを考慮した純増減ベースの会員数は、1000人から1100人と10%増加し、会社の売上高も同じく10%増加した。
あなたは、来年度の会員数を純増ベース15%伸ばしたいと思っている。この目標達成するためには、何人の新規会員を獲得すれば良いだろうか?また、この目標値は、現実的に達成可能な数字だろうか?
【ケース回答例】
私の目的は、来年度の会員数を15%伸ばすと言う目標達成するために必要な新規会員数を求めることですね。これ以外に私が頭に入れておくべき目的はありますか?
ーいいえ、ありません。
会員数を現在の1100人から15%伸ばすと言う事は、1100 × 1.15 = 1265人となります。一方で、前年度は200人の新規会員を獲得したにもかかわらず、全体の会員数は1000人から1100人へと100人しか増えていないので、この間に、100人が退会したこととなり、これは、年度開始時点における会員制の10%に相当する数字です。このことから、会員制の10%に相当するメンバーが毎年退会すると言う仮定を立てると、来年度に退会するメンバーの数は、1100人× 10% = 110人となります。
退会による減少のみを考えた場合の会員数は1100 − 110 = 990人となり、ここから1265人まで増やす必要があるので、目標達成に必要な新規会員の獲得数は、1265 − 990 = 275人と求められます。つまり、新規会員の獲得数を200人から275人に増やすと言うことなので、(275 − 200)÷ 200 = 37.5%の増加率に相当しますが、これが現実的に達成可能な数字かどうかは、我々の営業部隊がいかに効果的なマーケティングを行うかにかかっています。具体的な対応としては、我々が前年度に行ったことと来年度に行おうとしていることを比較検討する必要があるでしょう。
ーあなたにもう一つ取り組んでほしい問題があります。来年度の会員数を1265人と仮定した場合、年間の売上高はいくらになるでしょうか?
メンバーの会員費と、バッティングセンターの利用料は、それぞれいくらでしょうか?
ー会費は年間1000ドルです。また、バッティングセンターの利用料は、30分で50ドル、1時間で100ドルです。
バッティングセンターを30分利用する客と、1時間利用する客の割合は、どうなっていますか?
ーそれは重要な情報でしょうか?
いえ、よく考えれば、30分であろうと1時間であろうと、時間あたりの料金は変わらないので、関係のない情報ですね。別の質問させてください。バッティングセンターの営業時間と定休日はどうなっていますか?
ー営業時間は1日に18時間で、定休日はありません。
分りました。まずは、会員費の方から計算したいと思います。1265人のメンバーが年間1000ドルの会員費を支払うので、会員費から得られる年間売上高の合計は1265 × 1,000 = 1,265,000ドルとなります。
ー暗算で答えた点は高評価です。
次に、バッティングセンターの利用料ですが、これは平日と週末に分けて考えたいと思います。まず、金曜日、土曜日、日曜日の週末三日間に関しては、営業時間の90%が利用されていると仮定します。また時間あたりの利用料金は30分であろうと1時間であろうと変わらないので、以下の計算ではすべて1時間の利用料金をベースに考えます。利用料から得られる週末あたりの売上高は、3日× 18時間× 90% × 100ドルで計算されます。3日× 18時間= 54時間であり、この90%は約49時間になりますが、計算しやすいように50時間ときます。これに100ドルをかけると5000ドルとなり、1ヵ月に4回の週末があるとすれば、月間の売上高は2万ドルとなります。
ー本当ですか?
売上高の金額が大きすぎると言うことでしょうか?
ーいえ、逆に小さ過ぎると思います。
90%と言う利用率が低すぎると言うことですか?
ー90%と利用率は妥当だと思いますが、合計金額が小さすぎると言っているのです。
あ、分りました。バッターボックスは6つあるのに、私の計算では1つ分しか考慮されていないと言う事ですね。
ーその通りです。
すみません。正しくは、週末あたりの売上高が5000ドル× 6 = 30,000ドルであり、これに4回の週末をかけて、月間の売上高は120,000ドルになります。さらに、この数字に12をかければ年間の売上高は1,440,000ドルとなります。
次に、月曜日から木曜日までの平日の利用状況考えます。ここでは、仕事前の朝6時から9時まで、昼休み前後の11時から午後2時まで、そして仕事後の午後6時から夜の12時までの計12時間はバッターボックスが全て埋まっており、その他の時間帯は利用客が全くいないと仮定します。すると、平日4日間の売上高は、12時間× 100ドル×4日間= 4800ドルであり、先ほどと同様に1ヵ月= 4週間とすれば、月間の売上高は4800 × 4 = 19,200ドルになります。
ー確かですか?
いえ、これにバッターボックス6つ分をかけなければならないので、19,200 × 6 = 1,152,ルと言うのが正しい数字です。これに12ヶ月をかけると。
ー暗算できますか?
はい。115,200× 10 = 1,152,000と115200 × 2 = 230,400を足し合わせて、年間の売上高は1,382,400ドルと求められます。
ーよくできました。
会員費とバッターボックス利用料以外に、どのような収入源がありますか?
ーあなたはどう思いますか?
飲食物の販売が考えられます。朝の営業時間には、コーヒー、サンドイッチ、フルーツなど販売しており、一食あたり平均単価5ドルと仮定します。同様に、昼休み前後はランチを平均10ドルで、夜間は軽食やビールを平均15ドルで販売してると考えます。
飲食物の販売から得られる収入の計算には、何通りもの方法が考えられますが、ここでは、朝食、昼食、夕食を全てひとまとめにした平均売り上げ単価が10ドルだと仮定して、これにバッティングセンターの利用客のうち実際に飲食物を購入する人の割合を考慮した数字をかけて、売上高の合計額を算出したいと思います。
バッティングセンターの年間利用人数を求めるには、ちょっとした工夫が必要です。まず、先ほど計算した週末と平日の年間利用料を足し合わせた数字400ドルで割れば、(1,140,000 +1,382,400)÷ 100 = 28,224人と言う数字が得られます。ただし、これは利用客の全員がバッターボックスを1時間利用する場合の数値あることに注意が必要です。ここで、バッターボックスを1時間利用する客と30分利用する客の割合が50:50で半々だとすれば、1時間利用する客の数は14,112人、30分利用する客の数は28,224人となり、実際の利用人数の合計は約42,000人と計算されます。このうち、バッティングセンターで飲食物を購入する人の割合が50%であると仮定すれば、年間の売上高は、21,000人× 10ドル= 21万ドルとなります。この数字は会員費や利用料に比べると小さく見えますが、実際には、これぐらいの金額が妥当なところだと思われます。
ー悪くないですね。次はどうしますか?
Tシャツ、グローブ、バットといった、野球関連グッズの販売収入もあるのではないでしょうか。メンバー館員のうち半数が、年に1回何らかの商品を買い、その購入単価50ドルと仮定します。会員数1265人を2で割ると約630人となり、これに50ドルをかければ、年間のグッズ売上高は31,500ドルと計算されます。端数は切り捨てて32,000ドルとしましょう。
ー他には、何が考えられますか?
レッスン料金です。私たちはすでに、年間のバッティングセンター利用料を計算しているので、レッスン料を1時間100ドルとすれば、年間のレッスン収入は利用料20%をかけるだけでも止められます。
ーあなたの言っていることが私にはよくわからないのですか?
すみません。説明が足りませんでした。私は、バッターボックスが利用されている時間のうち20%はレッスンを受けていると言う仮定を置きました。1時間のレッスン料を、バッターボックスの利用料と同じ100ドルとすれば、年間のレッスン料収入は、年間の利用料収入の金額20%をかけた数字で求められます。年間の利用料収入は、1,440,000 +1,382,400 = 2,822,400ドルですが、端数は切り捨てで2,800,000ドルとし、これに20%をかければ、560,000ドルがレッスン料から得られる年間の売上高となります。
以上を全て合計すると、次のような表が作成され、来年度の総売上高は、4,889,400ドル、数字を丸めれば、約5,000,000ドルと計算されます。
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収入源:年間売上高
- 会費:1,265,000ドル
- 利用料ー週末:1,440,000ドル
- 利用料ー平日:1,382,400ドル
- 飲食物:210,000ドル
- 野球関連グッズ:32,000ドル
- レッスン料金:560,000ドル
- 合計:4,889,400ドル≒5,000,000ドル
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ーもし、他の会社が12,000,000ドルでこのバッティングセンターを買いたいと言ってきたらあなたはどうしますか?
バッティングセンターの土地と建物は、自社保有なのでしょうか?それとも、リース料払って借りているのでしょうか?
ー25年間のリース契約を結んで書いています。ちなみに、リース期間は、あと20年残っています。
提示されている買収金額は、売上高の約2.4年分(12 ÷ 5)に相当します。バッティングセンターのコストの詳細は分かりませんが、おそらく人件費は非常に低く、飲食物や野球関連グッズの利益率はかなり高いと推測されます。大きな割合を占めるコストは、土地と建物のリース料、光熱費、保険費用といったところでしょう。これらを単純化して、売上高に対するコストの比率が30%であると仮定すると、年間の利益は5,000,000ドル− 1,500,000ドル= 3,500,000ドルとなります。
我々は、あと何人メンバー会員を増やす余地があるのでしょうか?
ー約250人です。会員数は1500人を上回らないようにする必要があります。
と言う事は、会員費の収入だけで年間250,000ドルの上乗せが期待できると言う事ですね。メンバーが増えることによって、バッティングセンターの利用率が今よりも上がる事はあまりないと思いますが、この会費だけでも大きな収入です。結論としては、この買収提示案は受け入れません。買収価格が低すぎますし、私が大の野球ファンと言うことであれば、なおさらこのバッティングセンターを手放したくないでしょう。
以上、回答例になります。
今回は、ナンバー・ケースでした。
それでは。
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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』
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