【戦略コンサル対策】ケース例題9:カバナ・フィート社_大人気商品の需給ギャップ解消策

【結論】大人気商品の需給ギャップ解消策についての回答例がわかる。

ケース例題9:カバナ・フィート社は、ゴム草履のメーカーである。彼らの製品は、見た目は通常のゴム草履と変わらないが、草履の中底がジェル状になっており、非常に履き心地がよいことで評判であり、製品のサイズとカラーも豊富に取り揃えられている。今年の初めに、ブラットピットが最新作の映画の中でカバナ・フィートのゴム草履を履いていたことから一気に大流行になり、今やカバナ・フィートは製品の需要に生産が追いついていない状態となってしまっている。カバナ・フィートは、製品の生産を米国内のみで行っている唯一のゴム草履メーカーであり、過去10年間、カバナ・フィートのマーケティング活動はこの点をセールス・ポイントとして打ち出してきた。このような経費があることから、彼らは他国のゴム草履メーカーに生産活動をアウトソーシングできないままでいる。

 下の表を分析した上で、カバナ・フィートが検討すべき短期的な戦略と長期的な戦略を、大まかに提示してほしい。

 

 

【ケース回答例

 

 問題の内容を確保させて下さい。クライアントのカバナ・フィート社は、中底がジェル

状になっているゴム草履のメーカーであり、これまでは月に6000足のゴム草履を製造していたと思われます。ブラッドピットが映画の中でカバナ・フィートの草履を履いたことから、需要が一気に急増しましたが、彼らは製品の生産を米国内のみで行っている唯一のゴム草履メーカーあり、過去10年間のマーケティング活動も「純米国産」と言う点をセールス・ポイントとして打ち出してきたので、生産活動を外国の業者にアウトソーシングできない状態であると言うことですね。

 

ーその通りです。

 

 私の目的は、製品の需要ギャップを解消するために、クライアントが検討するべき短期的な戦略と長期的な戦略を提示することですが、この他にも頭に入れておくべき目的はありあすか?

 

ーいいえ、ありません。

 

 いくつか質問をしてもよろしいでしょうか?

 

ーどうぞ。

 

 与えられたグラフからは、クライアントの生産能力が月に12000足と読み取れますが、これで正しいでしょうか?

 

ーその通りです。

 

ブラッドピットの映画が公開されたのは、4月からでしょうか?

 

ーはい。

 

 私たちは、現在何月時点にいると仮定すればよろしいですか?

 

ー9月の初旬です。

 

と言うことは、9月の需要として記されている25000足は、予測値と言うことですか?

 

ーはい、その通りです。

 

これまでのところ、クライアントは顧客の需要を満たせているのでしょうか?それとも、大量の商品が入荷待ちの状態となっているのでしょうか?

 

ーこれまでは、余剰の手持ちの在庫があったので、顧客の需要を満たすことができてましたが、今月末で在庫も切れてしまいます。

 

 この傾向はしばらく続くと思っても良いのでしょうか?映画のDVDは、いつ頃発売されますか?

 

ーDVDは12月に発売予定です。今後の傾向についてですが、あなた自身はどう思いますか?

 

 DVDが発売されてから以降は、需要が横ばいに安定するのではないかと私は思います。しかし、われわれが提示する戦略は、予め2つのシナリオを考慮しておく必要があります。第一のシナリオは、ブラッドピットが次回作の映画でゴツいワークブーツを履いた結果、ゴム草履の売上が月6000足のレベルまで低下してしまった場合、どのようなことが起きるのかということ、第二のシナリオは、需要が25000足前後で安定した場合、クライアントはどのように大勝すれば良いかということです。

 

ー良いでしょう。あなたの考えはどうですか?どうすれば、ガバナ・フィートは顧客の需要を満たすことができるのでしょうか?

 

 いくつかアイデアがあります。まず、現在の労働シフトにまだ余裕があるのであれば、シフト数を増やすことを考えます。現在の従業員に、週末や第3シフト(夜そくから翌早朝にかけてのシフト時間)でも働くいしがあるかどうかを聞いて、彼らが追加労働を拒むようであれば、新しい従業員を雇います。次に、現在の製造過程に無駄がないかどうかを徹底的に分析します。具体的には、どこかにボトルネックがないかを調べて、製品の品質を落とさずにより多くの製品が作れないかを検討します。3つ目のアイデアとしては、新しい生産ラインを追加する必要なく、労働欲を削減できるような技術を導入できないかを調べます。4つ目は、現有の工場に新しい生産ラインを追加するか、場合によっては新しい工場を建てることを考えます。5つ目に考えられるのは、製品の価格を値上げして、需要調整を行うことです。そして、最後の6つ目に上げられるのが、生産活動を海外メーカーにアウトソーシングすることです。

 

ー今のところ、米国内でわれわれが対処できることはありません。したがって、海外に道を求めることが唯一の選択肢となります。

 

 であれば、海外メーカーへのアウトソーシングしか、選択肢はありません。

 

ーでは、過去10年間行ってきたマーケティング・キャンペーンを放棄するということですか?そんなことをしたら、クライアントはマスコミに吊し上げられませんか?

 

 必ずしもそうはならないと思います。海外へのアウトソーシングは、あくまで一時的な手段であり、顧客の需要を満たすためにはやむを得ない措置であるということ、そして、将来的に米国内の生産のみで需要に対応できるようになれば、生産活動を全て元通りにもどすということを、マスコミにきちんと説明するのです。次のように考えて下さい。クライアントの製品に対する需要は、月に6000足から25000足へ急増しています。元々の顧客のうち、5000人が「純米国産」にこだわりを持っている顧客だと仮定しましょう。この数字はかなり高い割合に設定していますが、とりあえずここではこれが真実であると仮定します。これが意味するところは、ゴム草履が米国内で作られているということよりも、ブラットピットのような足元をコーディネートできるということに、より関心がある顧客が20000人もいるということです。われわれは、この機会を逃す手はありません。もし、クライアントがゴム草履を市場に出さないのであれば、必ずや他の誰かがそれを奪いかかります。そうなると、クライアントはコピー商品への対処法や、新しい競合への対抗策に頭を悩ませなければならなくなります。

 

ーわかりました。ところで、クライアントの製品に対する需要は、3月から4月にかけて何%増加しましたか?

 

 6000足から10000足に増加してますから、(10ー6)/6=0.66666≒約67%です。

 

ーこれからあなたに幾つか新しい情報を与えます。工場で働く作業員の賃金は1時間あたり15ドル、シフト長の時給は20ドルです。1つの労働シフトには10人の作業員と1人のシフト長がいて、1シフトの作業時間は8時間です。また、1ヶ月のうち、実際の作業日数は20日と仮定して下さい。ここまではよろしいですか?

 

 はい。

 

ー作業員とシフト長に支払う賃金の他に、福利厚生費が賃金の30%分かかり、さらにその他の雑費が1シフトにつき毎日232ドルかかるとすると、1シフト、1日あたりの労務費は全部でいくらになりますか?

 

 まず、作業員の賃金は、1シフト、1日あたりで15ドル×8時間×10人=1200ドルであり、シフト長は20ドル×8時間×1人=160ドルです。福利厚生費は、1360ドル×30%=408ドルとなり、これに雑費の232ドルを加えると、労務費の合計は1360ドル+408ドル+232ドル=2000ドルとなります。

 

ー良いでしょう。ここで、1シフト、1日あたりの総コストが変動費と固定費を全て含めて2000ドルと仮定します。カバナ・フィートは、ゴム草履1足あたり8ドルの利益を得ます。この時、1シフトあたりの損益分岐点はどうなりますか?つまり、損益分岐点をクリアするためには、各シフトが1日あたり難読のゴム草履を作らなければなりませんか?

 

2000ドル÷8ドル/足=250足です。

 

ーカバナ・フィートの生産能力は、1ヶ月あたり12000そくです。現在の労働シフトが2つ、1ヶ月の作業日数が20日間、1シフトの作業時間が8時間とした場合、1シフト、1日あたりの最大生産能力は何足になりますか?

 

 まず、12000足÷2シフトより、1シフトの月間生産能力は6000足です。次に、6000足÷20日より、1シフト、1日あたりの最大生産能力は300足になります。

 

ーもし、3つ目のシフトを導入したら、クライアントの月刊生産能力は何足になりますか?

 

 12000足+6000足=18000足になります。

 

ー仮に、現在の従業員のみを使って第3のシフトを導入した場合、第3のシフトにかかるコストはいくらになりますか?そして、ゴム草履1足あたりの利益はどのように変化しますか?ここで、第3シフトの賃金は時給が1.5倍となることに注意してください。福利厚生費と雑費も、これまでと同様に考える必要があります。

 

 時給が1.5倍になるので、作業員の賃金は22.5ドル×8時間×10人=1800ドルであり、シフト長は30ドル×8時間×1人=240ドルです。

福利厚生費は、2040ドル×30%=612ドルとなり、これに雑費の232ドルを加えると、労務費の合計は2040ドル+612ドル+232ドル+=2892ドルとなります。892ドル÷300足=2.97ドルですから、ゴム草履1足あたりの利益は8ドルー2.97ドル=5.03ドルに変化することとなります。

 

ー現在の従業員のみを使って第3のシフトを導入することの長所と短所は、どのようなものが考えられますか?

 

考えをまとめるために、少し時間を頂いてもよろしいでしょうか?

 

ーどうぞ。

 

 (メモ帳に線を引いて、長所と短所を1つの表にまとめる)

 

ー第3のシフトを導入しても、クライアントは月に18000足の製品しか作ることしかできません。一方で、先ほどあなたは、製品の需要が今後の25000足くらいに落ち着くと言いました。仮にクライアントが、シフトの数を増やすのではなく、シフト数はこれまで通り2つにしたままで、1日あたり800足のゴム草履を製造する新しい生産ラインを追加するとすれば、需要は全て満たせることになるでしょうか?

 

 

 1日あたり800足ということは、1ヶ月の作業日数を20日と仮定すれば、月当たりで16000足となります。これに現在の生産能力の12000足を足せば28000足となり、25000足の需要を満たせることとなります。もし需要がこれ以上増加した場合には、従来の生産ラインと新しい生産ラインにそれぞれ第3シフトを導入すれば、28000足×1.5倍=42000足まで需要を満たすことが可能です。

 

ーあなたの回答をまとめて下さい。

 

 クライアントであるカバナ・フィートのゴム草履に対する需要は、月当たり6000足空25000足へと一気に増加しています。今後数ヶ月は需要がさらに伸びる可能性も考えられますが、将来的には、25000足程度で安定すると考えます。これに対してクライアントの現在の生産能力は12000足であり、これまでは手持ちの在庫を処分することで対応してきましたが、この在庫も切れる寸前の状態となっています。私は、この問題を解決するための短期的及び長期的な戦略を6つ提示しました。その主なものとしては、労働シフトの数を増やす、製造プロセスを徹底的に合理化する、外国のメーカーに生産活動のアウトソーシングすること等が挙げられます。

 後半部分では、1シフトあたりの損益分岐点となる生産量が1日あたり250足であり、これに対してクライアントの生産能力は300足であることを確認しました。また、第3のシフトを導入した場合には、製品1足あたりの利益が8ドルから約5ドルへ低下することにも気をつけながら、シフト数を増加することの長所と短所をまとめました。最後に、新しい再三ラインを追加した場合には、シフト数を3つにすれば月間生産能力は最大で42000足となり、現在の1ライン・2シフトの生産能力(12000足)に比べて250%の生産能力増強が図れるということを理解しました。

 

ー結構です。今日はありがとうございます。

 

 

以上、回答例となります。

今回は、ケースのタイプ的には、戦略全般、ナンバー・ケースでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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