【結論】豪州の土地を採掘すべきか否か?について回答例がわかる。
ケース例題8:ヨーロッパのある鉱山会社が、鉄鉱石の埋蔵量が豊富に見込まれるーストラリアの土地を購入した。彼らはこの土地を採掘すべきだろうか?鉄鉱石1トンあたりのコスト、損益分岐点、利益率、グローバル市場の価格に与える影響を考慮した上で、意思決定を下してほしい。
【ケース回答例】
問題の内容を確認させて下さい。クライアントはよーっロッパの鉱山会社であり、オーストラリアに購入した土地を採掘すべきか否かを判断しなければならないと言うことですね。
ーその通りです。
鉄鉱石1トンあたりのコスト、曽根木分岐点、利益率、グローバル市場の価格に与える影響を考慮した上で、この土地を採掘すべきか否かの意思決定を下すこと以外に私が頭に入れておかなければならない目的はありますか?
ーいいえ、ありません。
いくつか質問させて下さい。世界全体の鉄鉱石の市場規模はどれくらいでしょうか?
ー400百万トンです。
市場の競合状況はどうでしょう?
ー市場で主要な地位を占めてる企業は、クライアントを含めて3社存在しており、このお手で世界全体のシェアの75%を占めています。
業界全体の成長率はどれくらいでしょうか?
ー市場規模は横ばいで、推移しています。
クライアント自身の成長率はどうなっていますか?
ー業界全体と同様、ほぼ横ばいとなっています。
クライアントのマーケットシェアはどれくらいですか?
ーその情報は、この問題とは関係ありません。
この土地を採掘するコストは、どれくらいかかりますか?
ーインフラの設備の建設に15億ドルがかかり、これは10年間で均等に減価償却していきます。これに加えて、鉄鉱石を採掘するコストが1トンあたり15ドルかかります。
15ドルと言う採掘コストは、世界的に見て標準的な数値でしょうか?
ー良い質問ですね。答えはノーです。他の国では、1トンあたり10ドルと言うのが標準的です。
クライアントの採掘コストがそんなに高いのは何故ですか?
ー世界中のほとんどの鉱山が、コストの低い露天掘りであるのに対して、クライアントの鉱山は坑内掘りであるためです。
この土地からは、毎年何トンの鉄鉱石が採取されると想定されていますか?
ー最初の1年間はゼロですが、その翌年から15年間は、毎年50百トンの鉄鉱石が採掘されると見込まれております。
50百万トンと言うことは、現在の市場規模の10%以上にも相当する量ですか?15年がすぎた後は、鉱山の鉄鉱石は枯渇すると言うことでしょうか?
ーはい、その通りです。
鉄鉱石の市場価格はいくらですか?
ーここ5年間は、一トンあたり25ドルで売られています。
まず、コストの面から検討します。インフラの建設に15億ドルかかり、これを10年間で減価償却するので、毎年150百万ドルの減価償却費が計上されます。さらに、一トンあたり15ドルの採取コストが毎年50百万トン分かかるので。
ー暗算できますか?
はい。750百万ドルですね。したがって、750百万ドル+150百万ドル=900百万ドルのコストが2年目から計上されます。また、初年度は鉄鉱石が採取されないので、インフラ建設コストの減価償却費である150百万ドルのみが計上されます。これを表でまとめると、以下の表が作成されます。
まず、初年度の売上高はゼロですが、2年目以降の15年間は、鉄鉱石の市場価格がトンあたり25ドルで変わらないと仮定すれば、売上高は年間1250百万ドルになります。
この表から、クライアントがの初年度の利益(損失)は▲150百ドル、第2年度の利益は350百ドルになるので、損益分岐点は2年目の途中で達成することがわかります。鉄鉱石一トンあたりののコストは、900百万ドルを50百万ドルで割って18ドルとと求められます。そして、利益率は、(25ドルー18ドル)÷25ドル=7÷25=0.28=28%となります。
ところで、この数字の中には、鉄鉱石の輸送コストも含まれているのでしょうか?
ーはい。実は、クライアントの採取コストが高い理由は、輸送コストが高いことも一因となっています。後は、何を調べなければいけませんか?
グローバル市場の価格への影響です。もし、クライアントがこの鉱山を採掘すれば、全世界の年間生産量は400百万トンから450百万トンに増加します。これはグローバル市場で購入可能な鉄鉱石の量が10%以上も増えることを意味するので、おそらく鉄鉱石の市場価格を押し下げる方向に働くことが予想されます。
なお、第10年度でインフラ建設の減価償却が終わるので、それ以降の年間コストは低下することについても触れておきたいと思います。
ー良いでしょう。ここで、クライアントが鉱山の採掘に乗り出した結果、鉄鉱石の市場価格がトンあたり20ドルに低下して、さらに、クライアントが年間に販売できる鉄鉱石の量が30百万トンのみに限られると仮定してみて下さい。このような場合にでも、クラアントは鉱山を採掘すべきでしょうか?
計算してみましょう。初年度の売上高とコストは変わらず、クライアントは▲150百万円の損失を計上します。第2年度の売上高は30百万トン×20ドルで600百万ドルとなり、一方コストは、減価償却費の150百万ドルに採取コスト=15ドル×30百万トン=450百万ドルを足して、これも600百万ドルとなります。つまり、クライアントの利益はゼロとなってしますので、この場合には鉱山を採掘すべきではないと言う結論になります。
ー分りました。ありがとうございます。
以上、回答例となります。
今回は、ケースのタイプ的には、ナンバー・ケースでした。
この問題は、非常に典型的なナンバーケースですが、計算に必要な情報を得るために、適切な質問を問いかけていかないといけないところに難しさがあります。
それでは。
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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』
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