【戦略コンサル対策】ケース例題35:化学品メーカー_道路舗装サービスの価格設定

【結論】道路舗装サービスの価格設定について回答例がわかる。

ケース例題35:ある化学品メーカーが、道路の表面に塗ることでアスファルトの耐久性が高まる原料を開発した。現在は、米国政府は5年おきに道路を全て掘り起こし、新しく舗装し直す必要があるが、この新しい化学原料を用いれば、道路の耐久年数は20年まで伸びることにとなる。また、現在政府が道路の掘り起こしと舗装に対して支払っている費用は、道路1マイルあたり1000ドルである。一方で、この化学原料を使用した場合、クライアントに発生するコスト(原料の製造コストと舗装に係るコストの双方を含む)は、1マイルあたり50ドルである。

 化学品メーカーの経営陣は、以下の3点について、あなたの見解を求めている。

  • 米国内の道路を全て足し合わせると、どのくらいの長さになるか?
  • 道路の舗装サービスに対して、いくらの価格を設定すれば良いか?
  • このほかに、何か気をつけておかなければならないポイントがあるか?

 

【ケース回答例

 問題の内容を確認させてください。クライアントの化学品メーカーが、道路の耐用年数5年から20年に伸ばす化学原料を開発しました。現在、政府が道路を掘り起こし、再舗装する際に支払っているコストは道路1マイルあたり1000ドルであり、一方で、クライアントが開発した化学原料を用いれば、1マイルあたりのコストは、原料の製造コストと舗装コストの双方を含めて、50ドルで済むと言う事ですね。そして、クライアントが知りたがっているのは、米国内の道路の長さ、道路舗装サービスの価格設定、その他考慮すべきポイントの3点と言う事ですね?

 

ーその通りです。

 

 今述べたことのほかに、私が頭に入れておかなければならないクライアントの目的はありますか?

 

ーいいえ、ありません。

 

 クライアントの会社規模はどれくらいですか?

 

ーこの企業は、ベンチャー・キャピタルからの出資を受けて設立された新興企業であり、この化学原料が最初にして唯一の製品です。

 

 競合品を製造している企業が存在しますか?また、クライアントは特許を取得していますか?

 

ー最初の問いに関してはノー、後の問いに関してはYesです。

 

 この原料の優れた点についてはわかっていますが、逆に何か欠点はありますか?例えば、環境に悪い影響与えるといった事は無いのでしょうか?

 

ー非常に良い質問ですが、クライアントの製品に大きな欠点はありません。

 

 分りました。では、まずは米国内の道の長さを推定したいと思いますが、いくつかの買っておく必要があります。ここでは、米国の東海岸から西海岸までの水平距離を3000マイル、北川国境から南側国境までの垂直距離を2000円と仮定します。さらに、国内すべての道路をまっすぐに伸ばせば、東西に横断する道路が10本、同様に南北横断する道路も10本できると仮定します。すると、3000マイル× 10本= 30,000マイルと、2000マイル× 10本= 20,000マイルを立ち会わせて、米国内の道路の全長は、約50,000マイルと推定されます。

 

ー良いでしょう。それでいきましょう。次はどうしますか?

 

 道路舗装サービスの価格を決める必要があります。商品やサービスの価格設定にはいくつかの方法があるので、それらを一つ一つ検討していき、最終的な価格を決めたいと思います。

 まず、競合品との比較による価格設定ですが、クライアントの製品に対する直接的な競合品は存在しないので、この方法は使えません。一方、代替品として、現在政府が5年おきに支払っている、道路1マイルあたり1000ドルと言う保証コストを比較対象として用いることが可能です。ただし、クライアントの原料を使えば、道路の舗装は20年おきで済むので、両者を20年分のコストに揃えて比較する必要があります。この点については、また後で検討したいと思います。

 次に、所要コストに一定のマージンをのせるコストベースの価格設定を検討します。クライアントのトータル・コストは1枚あたり50ドルですから、仮に100%のマージンを乗せて場合にすれば、舗装サービスの価格は1枚あたり100ドルとなります。

 最後に、価値ベースの価格設定があります。これは、顧客である政府が喜んで支払うであろう価格水準によって決められます。

 ここで、先ほど述べた、20年を基準とした価格設定の方法について考えます。道路の全長は50,000マイルであり、現在政府は5年に1度道路を舗装しているので、20年分の舗装マイル数は200,000マイルとなります。そして、政府が20年間で支払う費用は200,000マイル× 1000ドル= 2億ドルです。一方で、クライアントにとって損益分岐点となる価格は、コストと同水準になる50,000マイル× 50ドル= 25,000,000ドルです。したがって、20年間の道路舗装サービスに対する価格は、25,000,000ドルから2億ドルの間で決定されることになります。

 

ーあまりにも幅が大きすぎますね。

 

 ここで、他の要素も考慮する必要があります。もし政府がクライアントを起用することになれば、今まで生生されていた建設業者の労働組合が騒ぐ事はもちろん、様々のロビー活動が背後で行われることになるでしょう。今まで舗装に従事していた人々の多くが職を失い、政府が失業問題やそれに絡む補償問題に直面することになります。たとえこの問題は交通省の決定事項だとしても、議会はこの問題を大きく取り上げるでしょう。したがって、価格設定で肝となるのは、クライアントを起用した場合の政府のこと削減効果が非常に大きく、クライアントを採用しなければ政府は財政問題を軽視してると思われる位の値段をつけると言うことです。仮に、1億ドルと言う価格を提示したとすれば、クライアントの儲けは十分ですし、政府が負担するコストも半減します。政府はこれによって浮いた1億ドルを他の公共事業投資に回せば、多くの失業者を出さずに済みます。

 

ーあなたの案では、道路舗装1マイルあたりの価格はいくらになりますか?

 

 1億ドル÷ 50,000マイル=2000ですから、1マイルあたりの価格は2000ドルになります。

 

ーそれは確かですか?

 

 はい。確かに1枚あたり2000ドルです。さらに付け加えると、政府は現在、5年分の舗装費用50,000,000ドル(50,000マイル× 1000ドル)を一度に支払っていると思われますが、クライアントに支払わなければならない舗装費用は1億ドルであり、負担が倍になってしまいます。この問題に対応するためには、政府に舗装費用全額を1度に支払わせるのではなく、2年から3年にかけて分割で支払うようにすれば、政府の年間支払い負担も増えずに済みます。

 

ー結構です。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、回答例になります。

今回は、マーケット・サイジング、新商品開発シナリオ、価格戦略シナリオでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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