【戦略コンサル対策】ケース例題33:人の炭酸飲料メーカー_利益低下の原因と業績改善案

【結論】利益低下の原因と業績改善案についての回答例がわかる。

ケース例題33:我々のクライアントはブラジルの炭酸飲料メーカーであるが、過去2年連続で利益が減少している。なぜ、このような現象が起きてるのだろうか?利益を増加させるためには、どのような選択肢が考えられるだろうか?炭酸飲料の販売価格を変化させた場合、損益にはどのような影響が生じるだろうか?また、ブラジル国内の炭酸飲料の市場規模を推定してほしい。

 

 

【ケース回答例

 

 問題の内容と目的を確認させてください。クライアントであるブラジルの炭酸飲料メーカーは、ここ2年連続利益は減少しており、①その原因、②利益改善策の選択肢、③炭酸飲料の販売価格を変化させた場合の損益に対する影響、④ブラジル国内の炭酸飲料の市場規模の4点について答える必要があると言う事ですね。利益を増加させること以外に、私が頭に入れておくべきクライアントの目的はありますか?

 

ーいいえ。今あなたが指摘した点で十分です。

 

 いくつか質問したいことがあります。ブラジルの炭酸飲料市場における主要企業と、各社のマーケットシェアはどうなっていますか?また、クライアントの商品の販売価格は、競合品と比較してどのような違いがありますか?

 

ー当然ながら、コカコーラとペプシが2大企業であり、この2社でシェアの80%を占めています。次いでクライアントのシェアが10%であり、残りを他の国内企業2社で占めていると言う状況です。炭酸飲料1本あたりの値段は、コカコーラとペプシが80セント、クライアントは50セント、他の国内企業2社が35セントとなっています。

 

 クライアントの価格がコカコーラやペプシよりも安いのは、ブランド力が弱いからでしょうか?それとも、商品の品質が劣っているからでしょうか?

 

ーブランド力の問題だと考えてください。

 

 クライアントの商品ラインはどうなっていますか?全部で何種類の炭酸飲料を販売してるのでしょうか?

 

ーコーラとガラナの2種類です。ガラナは、フルーツソーダのようなものだと思ってください。

 

 競合他社の商品はどうなっていますか?

 

ーコカコーラとペプシは、米国内と同様に多種多様な商品を販売しており、他の国内2社はコーラのみ販売しています。

 

 ブラジルの炭酸飲料市場全体の成長率はどれくらいですか?

 

ー昨年度の成長率は+10%でした。

 

 クライアントのシェアは、利益と同様に低下傾向にあるのでしょうか?それとも、シェアは変わらず、利益だけが落ち込んでいるのでしょうか?

 

ー良い質問です。クライアントのシェアは、ほとんど変わっていません。

 

 分りました。まずは、市場規模の推定から取り組みたいと思います。ブラジルの総人口がどれくらいなのか、定かでは無いのですが。

 

ー推測してみてください。

 

 2億人くらいでしょうか?

 

 

ー非常に近い数字です。実際の人口数は約1億8000万人ですが、このケースでは2億人と仮定しましょう。

 

 では、ブラジルの総人口を2億人と仮定し、これを年齢層別に分けて考えたいと思います。ここでは、どの年齢をとっても人口数は同じであり、さらにブラジル国民の平均寿命は80歳であると仮定します。

 

ー平均寿命が少し高すぎる気もしますが、良いでしょう。続けてください。

 

 計算を単純化するために、年間50週と仮定してもよろしいでしょうか?

 

ー良いでしょう。

 

 年齢層別に分解すると、次のような表が作成されます。

 

 この表から、ブラジル国内の炭酸飲料市場規模は年間約400億本と推定され、クライアントのシェアは10%なので、年間の販売数量40億本になります。炭酸飲料1本あたりの利益は、平均でどれくらいですか?

 

ー平均すると25セントです。

 

 と言う事は、年間の利益は0.25ドル× 40億本= 10億ドルですね。

 

ーその通りです。

 

 年間40億本と言う販売数量で、消費者の需要は全て満たしているのでしょうか?クライアントの生産能力による制約はありませんか?

 

ーいいえ。今のところ、その問題はありません。ただし、生産数量がかなり増えるようであれば、工場の労働シフトを追加する必要があります。

 

 クライアントの利益が低下している原因はいくつか考えられます。売上高が落ちているのかもしれませんし、売上高横ばいでもコストが上昇しているのかもしれません。我々は、売上高とコストの両面を調べる必要があります。

 

ー時間を節約しましょう。われわれはすでにクライアントの製造コストを分析しましたが、特に問題点は見つかりませんでした。金額的に増加してはいるものの、非常に小さな額です。さらに言うと、製造コストを削減するための策は、常に全部行っています。

 

 今までの話をまとめると、クライアントのシェアは変わっておらず、市場全体を成長していると言う事ですから、クライアントの売上高は増加していることになります。

 

ーその通りです。

 

 製造コストはきちんと管理されており、売上高が増加しているにもかかわらず、利益が減少していると言う事ですね。先ほど、炭酸飲料1本あたりの利益は25セントとおっしゃっていましたが、以前はもっと大きな利益を上げていたのでしょうか?

 

ーはい。良い指摘です。この2年間続けて、クライアントの卸売業者がマージンのアップを要求してきたため、1本あたりのマージンを毎年1セントずつ増やさざるをえませんでした。これによって、クライアントのコストはー昨年度で9,000,000ドル、昨年度はさらに10,000,000ドル増加しています。しかし、クライアントはこのコスト上昇分を小売店や消費者への販売価格に転嫁して値上げする事はしませんでした。

 

 分りました。販売価格を変化させた場合の影響についてですが、各企業の販売価格は、コカコーラとペプシが80セント、クライアントは50セント、他の国内2社が35セントと、大きな差があるように見受けられます。価格を上下させることによって、クライアントの販売数量がどのように変わるかについての情報はありますか?

 

ーまずは、1本あたり25セントと言う利益をベースに考えてください。クライアントの利益を5セントと増やそうと思えば、それはこのまま消費者向けの販売価格上昇となり、クライアントの販売数量5%減少します。値段を据え置いたままであれば、販売数量は5%増加することが見込まれています。そして、5セントの値下げを行えば、販売数量は10%増加すると予想されます。

 

 販売数量の減少率が価格の上昇率よりも低ければ、ネット利益は増加するので、値上げは理にかないます。同様に、販売数量の増加率が価格の下落率よりも高ければ、ネットの利益が増加するので、値下げが理にかないます。

 

ー表でまとめていただけますか?

 

 クライアントの現在の年間販売数量は40億本ですから、次のような表が作成されます。

 

 この表から、値上げを行うことが最善の選択肢であると思われます。この場合、値段を据え置いたままにしておく場合に比べて、販売数量は4億本少なくなりますが、利益は90,000,000ドル増加することになります。さらに、商品の生産数量を増やすために必要な労働シフトの増加も不要です。これを考えると、値下げをすることは、クライアントにとって最悪の選択肢です。

 ところで、クライアントには他の収入源もあるのでしょうか?炭酸飲料以外にも販売しているものありますか?

 

ーいいえ。そこまで調べる必要はありません。炭酸飲料だけ考えれば結構です。そろそろ、あなたの結論をまとめてください。

 

 まず、ブラジルの炭酸飲料の市場規模は年間約400億本であり、クライアントのシェアが10%とすると、年間の販売数量は40億本となります。クライアントの利益が減少している原因は、ここ2年間で1本あたり2セントと上昇した卸売業者へのマージンだということがわかりました。これに伴うクライアントのコスト増加は、合計で19,000,000ドルです。商品の販売価格については、1本あたり5セントの値上げを行います。これにより、価格を据え置く場合に比べて販売数量は4億本減少する一方で、利益は90,000,000ドル増加することが見込まれます。さらに、生産数量が減少することによって、工場労働者の賃金、原材料費、輸送費、卸売業者へのマージンといったコストが節約されることにもなります。

 

ー大変よくできました。

 

 

 

 

以上、回答例になります。

今回は、マーケット・サイジング、価格戦略シナリオ、利益増加シナリオでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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