【戦略コンサル対策】ケース例題29:コカコーラ_値上げをすべきか否か?

【結論】値上げをすべきか否かについての回答例がわかる。

ケース例題29:コカコーラ社は、日本国内で販売しているコーラの価格を値上げすることによって、収益性を高めることができないかどうかを検討している。今のところ、彼らが値上げの対象として考えているのは、取引量は多いが利幅が少ない、いわゆる剥離多売となっている食料品スーパー向けの販売である。

 コカコーラが値上げを行った場合の経済効果を示した上で、果たしてこれが良いアイディアなのかどうかを教えて欲しい。

 

【ケース回答例

 

 問題の内容確認させてください。コカコーラ社が、食料品スーパー向けの販売価格を値上げすることによって収益性を高めることを検討しているが、これは果たして良いアイディアなのかどうかを、その経済効果と合わせて判断しなければならないと言う事ですね?

 

ーその通りです。

 

 コカコーラの主な目的は収益性を高めることですが、これ以外にも、私が頭に入れておくべき目的はありますか?

 

ー彼らは、マーケットシェアをできる限り失いたくないと思っています。

 

 値上げの対象となるのはコーラだけですか?それとも、コカコーラ社が食料品スーパーに販売している他の炭酸飲料(スプライトやファンタなど)も値上げするのでしょうか?

 

ーこの問題では、コカコーラ社が販売しているすべての炭酸飲料をコーラとひとくくりにしていると考えてください。

 

 コカコーラの現在のマーケットシェアは何%ですか?

 

ーこの問題とは関係がありません。

 

 コーラ1缶あたりの製造コストはいくらでしょうか?

 

ーそれも、この問題とは関係ない情報です。

 

 コカコーラは、国内の食料品スーパーに対して年間何本のコーラを、1缶いくらで販売しているんでしょうか?

 

ー昨年1年間は、年間1億本のコーラを、1缶あたり平均23円で食料品スーパーに販売しました。もしこの販売価格をそれを置いたままにすれば、今年1年間のコーラの販売数量は6%増加することが見込まれています。一方、コカコーラは食料品店向けの販売価格を27円に値上げすることを考えていますが、値上げした場合の年間販売数量の増加率は1%のみにとどまることが予想されます。

 

 分りました。では、それぞれの場合で今年1年間の売上高がどうなるかを計算してみましょう。

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価格を据え置く場合:1億本× 23円× 1.06 = 24.38億円

値上げをする場合:1億本× 27円× 1.01 = 27.27億円

差額:2.89億円


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 以上のとおり、値上げをすることによって年間販売数量は5%少なくなる一方で、売上高は3億円弱増加することが見込まれます。

 

ー価格を据え置く場合に比べて、売上高は何%押し上げられますか?

 

 細かく計算すると、2.89 ÷ 24.38で求められる数値になりますが、ここでは計算を簡略化します。3 ÷ 24 = 8分の1 = 12.5%ですが、実際より分子が大きく、分母が小さく計算されていることを考慮すると、大体12%前後になると思います。したがって値上げを行うことにより、約12%の売り上げを押し上げ効果が働くこととなります。

 

ーコカコーラが現在のシェアを維持するためには、大々的なマーケティングキャンペーンを展開し、ブランドイメージを強化することによって消費者需要を喚起する必要があります。もしあなたがペプシ側のコンサルタントであり、コカコーラが置かれているこのような状況を認識していると仮定した場合、ペプシはどのような行動を取るべきでしょうか?

 

 ペプシには3つの選択肢があります。すなわち、①コカコーラに歩調合わせて、同じ価格まで値上げする、②価格を現在のまま終了。③コカコーラとは逆に値下げを行う、のいずれかです。

 もしコカコーラが多額の資金を投じてマーケティングキャンペーンを展開し、これがうまくいってスーパーに多くの顧客を呼び込むところまでは成功したとしても、ペプシはコカコーラより低価格で商品を提供することによって、コカコーラの宣伝に引き寄せられて来店した顧客を購買直前の時点で奪い取ることが可能です。ここで言う顧客の獲得と争う場とは食料品スーパーですが、スーパーでコーラを買う顧客は、商品の販売価格に非常に敏感な主婦層が中心です。仮に、コーラ6本パックをコカコーラ299円で、ペプシは259円で販売していれば、ほとんどの顧客は価格が安いペプシを選ぶと思います。

 ペプシはまた、コカコーラの値上げをマーケットシェア獲得の好機と捉えて、価格を据え置くことからさらに一歩踏み込んで、値下げを行うべきとの理屈も考えられるでしょう。

 ヨットレースでは、遅れをとっているチームが前を行くチームに追いつき、追い越すためには、先行するチームと同じ進路をとるのではなく、異なる戦略で進路を選択することが必要だと言われています。ペプシの場合でも、コカコーラの戦略とは逆に値下げを行い、マーケティング活動も広く世間一般を対象としたものではなく、スーパー店舗内でのプロモーション今日家に集中すれば商品が選択される時点でコカコーラから効果的に顧客を奪うことが可能となります。

 

ーそれで、結局ペプシはどうすれば良いのでしょうか?

 

 結論を出す前に、数字の面でも検証したいと思います。先ほど述べた3つの選択肢のそれぞれについて、ペプシの食料品スーパーに対する販売価格と販売数量はどうなるのでしょうか?

 

ーペプシは昨年1年間で80,000,000本のコーラを1本あたり23円で食料品スーパーに販売しました。もしペプシがコカコーラの動きに追随して、同じ値段(27円)まで値上げする場合には、今年1年間の販売数量の予想増加率は3%になります。ペプシが値段を据え置く場合には、販売終了の予想増加率は12%となり、ペプシが値段を1本あたり21円に値下げする場合の販売数量は20%伸びることが予想されます。

 

 それぞれの選択肢について計算すると、次のようになります。


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値上げをする場合:80,000,000本× 27円× 1.03 = 22.25億円
価格を揃えおく場合:80,000,000本× 23円× 1.12 = 20.61億円
値下げをする場合:80,000,000本× 21円× 1.20 = 20.16億円


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 以上の計算結果から、数字の面で言えば、ペプシはコカコーラに追随して値上げをすべきであると言う結論が得られます。

 

ーペプシがコカコーラに追随して値上げを行う場合は、コカコーラの販売数量の増加が1%ではなく、3%になることがわかっているとしても、あなたの結論は変わりませんか?

 

 はい、その場合でも、結論は変わりません。

 

ー興味深い結果ですね。ありがとうございます。

 

 

以上、回答例になります。

今回は、ナンバー・ケースでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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