【戦略コンサル対策】ケース例題19:日本の電気メーカー_売上高と利益の分析

【結論】売上高と利益の分析についての解答例がわかる。

ケース例題19:我々のクライアントは、カーステレオ、カーナビ、DVDレコーダー、パソコンのハードディスクドライブ、家庭用ステレオ等を製造している、日本の電機メーカーである。最近、クライアントはプラズマTV事業に参入した。クライアントは、電気製品全体の市場では、日本の5大メーカーの最後尾に位置しているが、40インチ以上の大型プラズマTV市場だけで見れば、トップシェアを誇っている。

 

 

 

 上のグラフを見て、クライアントに何が起きているのかを分析して欲しい。

 

【ケース回答例

 クライアントの売上高は、過去5年連続で前年度の数値を上回る実績を上げて、52億円から70億円まで売り上げを伸ばしています。売上高の年間成長率は、2004年までは1桁台の緩やかな伸びを示していましたが、2005年は成長率は約13%へと急上昇しています。このように、売上高の面では順調な推移を示している一方で、利益の面では苦戦している状況が伺えます。2000年には売上高52億円に対して1.2億円の利益を上げているので、利益率は2%強でしたが、2005年の利益率は1%強へと落ち込んでいます。

 クライアントが行っているビジネスについて、いくつか質問したいと思います。クライアントの製品は、大きく自動車用電気機器と、家庭用電気製品のセグメントに分類されると言う理解でよろしいでしょうか?

 

ーはい、その通りです。

 

 それぞれのセグメントは、売上高全体の何%を占めていますか?

 

ー自動車用製品が売り上げ全体の42%、家庭用製品は全体の40%占めています。

 

 残りの18%は、どのような製品が占めているのですか?

 

ーその情報は、この問題には関係ないと考えてください。

 

 各セグメント別の売上高と利益はどうなっていますか?

 

ーどちらのセグメントでも、売上高は増加している一方で、利益は大きく落ち込んでいます。グラフを見ればわかるように、クライアントは70億円の売上高に対して80,000,000円の利益しかあげていません。一体、何が原因なのでしょうか?

 

 クライアントの競合も、同様の問題に直面しているんでしょうか?

 

ーいいえ。

 

 という事は、業界全体に共通する問題ではないと言う事ですね?

 

ー他社では、ここまでの問題にはなっていません。

 

 

 それはどういう意味でしょうか?他社も似たような傾向にあるが、クライアントほどそれが顕著に現れていないと言うことですか?

 

ー私が言わんとした事は、競合企業の中には予想以上の利益を上げた企業もあれば、ちょうど投資家が期待する程度の利益を安定的に計上している企業もあると言うことです。例えば、韓国のサムスンは、5300億円の売上高に対して1000億円の利益を計上しましたが、これは利益率で言うと、18%から19%と言う驚異的な数字です。

 

 クライアントは、いつ、どのような方法でプラズマTV市場に参入したのでしょうか?

 

ークライアントはプラズマTV市場に参入したのは2004年の1月から2月にかけてであり、当時、コンピューター事業の集中化を進めていたプラズマTV部門を買収する形で参入を果たしました。

 

 クライアントの利益は2004年に急増していますが、これは主にプラズマTVの売り上げが伸びたことや、その年に郵便局が開催されたことによるものでしょうか?

 

ーそれも1つの要因ではありますが、それだけでは、なぜ翌年に売上高が伸びたにもかかわらず、利益が大きく落ち込んだのかを説明できません。

 

 

 思いつく要因がいくつかあります。まず考えられるのは、競合他社のプラズマTVへの参入増加です。これによって、競争が激化し、商品の価格が下がったのかもしれません。また、コストが安い中国での企業や、中国で問題となっているコピー商品との熾烈な競争が起きたと言うことも考えられます。特に、コピー商品は本物と区別することは極めて困難であるとの研究結果も報告されています。クライアントのマーケットシェアを低下していますか?

 

 

ー多少低下しています。他には何か考えられますか?

 

 

 第二の要因としては、プラズマTVの代替品による影響が考えられます。例えば、液晶TVはプラズマTVよりも値段が安く、技術や品質もどんどん改善されています。第3の要因に挙げられるのは、クライアント自身のコストアップです。おそらく、人件費や製造コストが上昇しているのではないでしょうか。

 

ーあなたが指摘した事項は、全て当てはまると仮定してください。その場合、あなたならどうしますか?

 

 もし、競合がマーケットシェアを伸ばしていたり、プラズマTV市場への新規参入が見られたりするようであれば、競合状況を詳細に調べます。具体的には、競合の製品はクライアントの製品と比較してどこが異なっているのか、競合の製品はクライアントよりも多くの特徴や高い品質を備えているか、クライアントの製品よりも安い値段で販売されているか、もしそうであるならばその理由は何か、中国で製造しているからか、それとも原材料安く仕入れているからかといったことを分析します。もし、自らの力では調べ切れないのであれば、競合の経営陣をヘッドハンティングすると言うことも考えられるでしょう。

 

 次に、売上高を増やすための方法を考えます。クライアントの売上高は、一見順調に伸びているように見えますが、取り立てて成長率が高いわけでもなく、投資家が要求した水準を満たしていません。おそらく、クライアントの売上高成長率は、業界全体の成長率を下回っ  ていると思われます。ここで検討すべき項目には、クライアントは営業の現場に足を運び、顧客の声に耳を傾けているか、価格のみが決め手となっているのか、それともより高い技術や多くの特徴を備えることによって、クライアントの製品を差別化することが可能なのか、マーケティングの方法に問題はないか、今日はどのような販売チャンネルを活用し、どのようなマーケティングキャンペーン行っているかといったことになります。

 

 売上高を増やす方法には、大きく、①販売量を増やす、②値上げする、③プラズマTVの鑑賞をより快適にするような付属品を提供して、顧客あたりの単価を上げる、の3つがあります。また、営業組織を強化したり、流通チャネルを拡大したり、技術水準向上のための投資を行うと言うことも考えます。

 

 売上の構造分析した後は、コスト構造を調べます。クライアントで問題になっているのは、売上高が上昇する速度に比べて、コストが上昇する速度の方が速いと言うことです。したがって、我々は売上高増やすための手を打つ一方で、コストを削減する方法についても力を入れる必要があります。

 

ーコストの削減方法について、もう少し詳しく話してください。

 

 まずは、クライアントのコストを、内部的なコスト要因と外部的なコスト要因に分解することから始めます。

 

 内部的なコスト要因には、人件費、原材料費、生産設備に付随するコスト等が含まれます。この中で異常な数値を示していることがあれば、その理由を調べて、正常な水準に戻すための対策を講じます。また、ベンチマーク分析を行い、業績が良い競合のコスト構造と比較します。さらに、より少ない部品でプラズマTVを製造できるような技術改善ができないかを検討します。

 外部的なコスト要因として挙げられるのは、経済全体の動向や、金利動向、輸送コスト等です。景気が良ければ、確かに売上高は伸びますが、その一方で従業員に支払う給与が増えて、コスト増につながると言うのも事実です。日本の経済動向は比較的安定しており、金利も変わらず非常に低い水準に押されています。したがって、我々が中止すべき外部的なこと要因は、輸送コストと言うことになるでしょう。

 最後にもしクライアントが現在は日本国内のみで製品の製造も行っているのであれば、製造活動の一部を中国に移すことを検討します。中国の人件費は日本よりもずっと安い一方、技術水準は他国に引けを取りません。実際に、日本の自動車メーカーは中国に巨大な自動車製造工場を建設しています。我々は、コスト競争力を強化しなければなりません。

 

ー分りました、結構です。要点を10文字以内でまとめてください。

 

 「中国に目を向けよ」と言うことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、回答例となります。

今回は、ケースのタイプ的には、売上増加シナリオ、コスト削減シナリオ、利益増加シナリオでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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