【結論】大学生向けのセグメント戦略についての回答例がわかる。
ケース例題18:我々のクライアントは、イマジタス社である。イマジタスは、郵便局と連携して、住所変更届のカードを印刷している。10年前までは、住所変更届は単なる緑色の紙切れに過ぎなかったが、今では住所変更届けとともに、引っ越す際に役立つ知識や、引越し業者のクーポン券などが付いたパンフレット(ムーバーズガイドと呼ばれている)が配布されている。さらに、イマジタスは、新しい住所の周辺に関する情報や、近隣の店舗のクーポンを提供するウェルカムキットも配布している。イマジタスが提供するサービスによって、郵便局は年間12,000,000ドルのコスト削減を実現し、イマジタス自身も広告収入で年間50,000,000ドルの利益を上げている。
ターゲットとなる顧客層のうち、需要が最も活発でありながら、最もアクセスが難しいのは大学生である。イマジタスは、大学生の顧客をセグメント化して、このマーケットにうまくアクセスするための方法を考えている。床の目的を念頭におきながら、イマジタスがとるべき戦略を示してほしい。
- 学生の迅速なアクセス
- 学生にとって魅力的なクーポンの提供
- 自社のウェブサイトへのアクセス数増加
- 顧客情報のオンライン化
- 利益の計上
【ケース回答例】
問題の内容と目的を確認させてください。クライアントは、郵便局と連携して、住所変更届を扱うのは基本的なサービス内容ですね。彼らは、大学生への迅速なアクセス 、魅力あるクーポンの提供、ウェブサイトの利用増加、顧客情報のオンライン化、利益の計上と言う目的を果たしつつ、大学生市場のセグメント化と効果的なアクセス方法の立案を我々に望んでいると言う事ですね?
ーそんなところです。
現在、オンラインでの住所変更届出と言うのは可能なのでしょうか?
ー直にそうなるでしょう。したがって、そのような仮定を立てていただいても構いません。
イマジタスが現在提供しているクーポンは、全国的なチェーン店のものでしょうか?それとも、地域密着型の店舗のものでしょうか?
ー現在は全国チェーンのみですが、直に地元店舗のクーポンも扱っていきたいと思っています。
大学生の市場は5つのセグメントに分けることができると思います。具体的には、① 1年生として入学する新入生、②長期休暇や休学から復学する学生、③夏休みを利用して実家に戻る学生、④インターシップのために他の都市へ移動する学生、⑤就職のために他の都市に移動する学生の5つです。このうち私は、新入生、復学する学生、就職を理由に他の都市へ移動する学生の3つのセグメントに絞りたいと思います。
ー続けてください。
まず、新入生のセグメントに対しては、内容が魅力的な「ムーバーズ・ガイド」を早い段階、例えば彼らが引っ越しに必要なものを買い揃えてしまう前に彼らの手元に届けることができれば、非常に有望な市場となるでしょう。家具店や衣類洋品店のクーポンを提供することができれば、効果的だと思います。
学生がキャンパスライフ始める際には、全国チェーンに加えて、学校や地域に合わせた店舗のクーポンも提供できれば、ウェルカムキットは非常にユニークなサービスとなるでしょう。地元に合わせたクーポンとしては、電気用品店、宅配ピザ屋、クリーニング屋などが挙げられます。
長期休暇休学から復帰する学生に対しては、ウェルカムキットの樹立に注力すべきだと思います。これも新入生同様、学校や地域ごとに合わせたクーポンを提供することができれば、学生は非常に多くの全国1008 4本店舗利用することが可能になります。
最後に、就職のために他の都市に移動する学生に対しても、ウェルカムキットを充実させることが、大きなビジネスチャンスにつながるでしょう。このセグメントは、あらゆるものを新しく準備する必要がありますが、それを支払うだけの収入も得ている顧客層です。クリエイト&バレルや、リネン&シングといったやや高級志向の全国チェーンをクーポンに加えるべきでしょう。
ーあなたが言ってる事は大筋良いのですが、イマジタスはどのような方法で学生にアクセスして、どうやって自社のウェブサイトを使ってもらうようにすれば良いのでしょうか?
学生のアクセスに関しては、大学との戦略的提携、ビラ広告、口コミ等、いくつかの方法が考えられます。理想としては、学生がキャンパスライフを始める前の段階で、個人情報をつかんでおく必要があります。このためには、大学の入学事務局と住居管理局に働きかけて、入学許可証と大学への住居届に郵便局のホームページアドレスを記載してもらうのが、最善の策でしょう。
大学が私たちのためにそこまでする理由は何でしょうか?
長期的に見れば、大学側は仕事量とコストを削減することが可能です。まず、我々は大学のメールセンターと提携を組みます。毎年夏になると、大学のメールセンターは、卒業したばかりの学生、夏休みで街を離れて学生、編入もしくは退学した学生への郵便物でごった返しします。この郵便物を送り主に返送したり、返送したりするのは、多大なる金額と労力を要します。
春になると、大学の郵便事務局はキャンパスにいるすべての学生のメールボックスに、自分の最新の住所を郵便局とメールセンターに通知することを流すカードを入れます。ハーバードでは、郵便事務局が学生のデータベースを保有しており、住所を通知してきた学生をチェックしていると聞いたことがありますが、きちんと通知する学生の割合というのは非常に小さいのではないかと思われます。私自身、郵便事務局からのカードを受け取った記憶はあっても、それを記入して通知しなければならないと言ったことを後で思い出したことがありません。
これらのサービスを我々が請け負う代わりとして、ムーバーズ・ガイドをすべての学生のメールボックスに入れてもらうよう、大学の郵便事務局に働きかけます。今までの面倒な仕事が減ることによって、郵便事務局はまずカードの印刷代が節約できますし、第二に郵便局とのオンライン化を通じて、余計な郵便物の配送が劇的に減少することが期待できます。
大学のメールサービス、入学事務局、入局管理局を通じて、私たちは大学生のほぼ全員を取り込むことができますし、彼らが住居を移動する際にも情報を入手できるので、障害をつうじた顧客管理が可能となります。また大学別のセグメンテーションを行うことによって、イマジタスのサービスは地元の業者にとっても、より魅力的なものとなります。
ー学生たちは、どのような形でイマジタスのサービスを認知するのでしょうか?
口コミです。口コミの重要性はいくら強調しすぎても足りない位です。口コミによる評判すぐ広まりますし、ほとんどの学生がEメールを利用している現在では、メッセージがより多くの人に伝わっていきます。
ーあなたの回答をまとめてくれますか?
郵便局とイマジタスは、学生はできるだけ早い段階、理想的には彼らが学校生活を始める前の段階で取り込んでおく必要があります。これは、大学と提携して、大学側の過剰な郵便物や労働を取り除いてあげることで可能になるでしょう。郵便局は学生の情報データベース化し、学生が住居を移動する1ヶ月前の時点で情報を新しいものに変えることができます。さらに、学生が住居を変更する際にはオンラインで届け出るように促すよう、Eメールを自動送付することも可能でしょう。
学生が一度オンライン登録して、利用の際には暗証番号を用いるようにすれば、大学生活の間のみならず、後の生活を通じて住所変更届けができるようになります。この際、郵便局はすぐに確認のメールを返信するとともに、イマジタスはムーバーズバズガイドを学生の現在のアドレスに送付します。ムーバーズガイドには、今まで同様に、引っ越しの際に必要となるものやサービスに対するクーポン付きます。最後に、イマジタスは新しく引っ越し先の住所に対して、ウェルカムキットを送付します。
ここまで触れていませんでしたが、ウェブサイトに関する私の考えを付け加えさせていただきます。引っ越しの際には、住所変更届と同時に、電話やケーブルテレビの申し込みもできれば使います。ですから、ウェブサイトは新しい住居先における、それらサービスを提供する会社のウェブサイトとリンクさせるべきです。これによって、学生が引っ越すまでには、新しい生活の準備が全て整っている状態にすることができます。また、クーポンをウェブ上で提供することも可能でしょう。引っ越しの際には荷物が散らばって、ものがなくなりやすくなりますが、これを避けることができます。
ーすばらしい答えです。私の次のイマジタス社のミーティングまで、あなたのアドバイスを覚えていかおかないといけませんね。
以上、回答例となります。
今回は、ケースのタイプ的には、戦略全般、マーケティングでした。
それでは。
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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』
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