【戦略コンサル対策】ケース例題12:マリン用品販売企業_インターネット販売の改善策

【結論】インターネット販売の改善策についての回答例がわかる。

ケース例題12:ビジネススクールのコンサルティング・クラブに入っているあなたは、チームの課題として、小規模オーナー企業のコンサルティング業務を与えられた。あなたのクライアントは、公開用のマリンウェア、ウェットスーツ、マリンシューズ、船に乗せる三角フラッグなど、ありとあらゆるマリン用品を販売している小売業者である。

 クライアントは、東日本の沿岸地域を中心に計10店舗を構えている。昨年度の売り上げは売上高は24億円で、売上高の成長率は5%だった。社長はインターネット販売を行うためのウェブサイトを開発したが、ネット販売から得られた売上高はわずか1,000,000円であり、ウェブサイトの開発に要した費用をはるかかろうじてカバーする程度であった。

 社長は、売上高と利益を増加させるためのアドバイスをあなたに求めている。あなたは、どのようなアドバイスを彼に与えるだろうか?クライアントがとるべき短期的及び長期的な戦略には、どのようなものが考えられるだろうか?

 

 

 

 

【ケース回答例

 問題の内容と目的を確認させてください。私のクライアントは、東日本の沿岸地域を中心に10店舗を構えて、ありとあらゆるマリン用品を販売している小売業者であり、約1,000,000円をかけてウェブサイトを開発したものの、インターネット販売の売上高は期待はずれに終わっていると言う事ですね。私に求められているのは、クライアントの売上高と利益を増加させるための、短期的及び長期的な戦略を提示することですか、このほかにも、私が頭に入れておくべきクライアントの目的はありますか?

 

ーいいえ、ありません。

 

 まずは、私が行う分析の全体像を示してから、その後でいくつか質問をしたいと思います。

 第一に、クライアントが属する業界や市場、競合状況、全般的な景気動向といった外部環境状況を分析します。

 次に、クライアント内部の要因を売上面から分析します。具体的には、クライアントの売上構造はどうなっているか、インターネット販売以外に新しい収益源となりそうなものはあるか、売上高を構成している各要素はそれぞれ売上全体の何%を占めているか、各要素の構成比に最近大きな変化が見られていないかと言う点を検討します。さらに、クライアントの流通チャネルやマーケティング計画についても調べる必要があると思います。

 売上面の分析について、コスト面の分析を行います。ここで検討するのは、主な変動費と固定費は何か、最近、大きく変化したコストはないか、売上高にマイナスの影響を与えずに削減できることがないかと言う点になります。また、優れた業績を上げている競合企業のコスト構造と自社のコスト構造のベンチマーキング分析を行うことも有効だと思います。

 最後に、商品の販売量を増やすために何かできる事はないかを調べます。例えば、新しい地域に進出する、マーケティングキャンペーンを強化する、営業組織を強化する、などといった選択肢が考えられます。また航海は春と夏に行われることが多いと思われるので、商品の季節性を考慮して、季節ごとに最大の売上高を得る方法を考える必要があります。さらに商品の価格戦略やカスタマサービスについても検討します。

 

ー分りました。全体像としては良いプランだと思います。

 

 いくつか質問をしてもよろしいでしょうか?

  

ーどうぞ。

 

 

 

 クライアントの成長率は、業界全体と比較してどうなっていますか?

 

 

 

ー彼らの売上高は前年比で5%増加していますが、業界全体の成長率は7%でした。

 

 

 

 そのような傾向は、過去数年間を見ても変わりませんか?

 

 

 

ーはい、過去も同様の傾向が見られます。また、これまでと何も変わらない限り、クライアントの売上高は、今後も年間5%ずつ成長していくと仮定してください

 

 

 

 クライアントのマーケットシェアは何%でしょうか?

 

 

 

ーマーケットシェアの数字は、この問題とは関係ありません。ちょっと、ここで一呼吸置きましょう。あなたは、最初に分析のプロセスの全体像を示してくれましたが、要所を押さえた非常に良いものだったと思います。ここから先の議論では、「どうすれば、インターネット販売の売上高を伸ばすことができるか?」と言う点に焦点を絞ってください。ウェブサイトからの売上高は無残な結果となっていますが、その一例としては、クライアントがほとんど広告宣伝活動を行わなかったと言うことが挙げられます。現時点では、まだ具体的な行動は何も起こしていないと仮定してください。あなたなら、どうやってインターネット販売の売上高を伸ばしますか?

 

 

 

 まずは、ありとあらゆるものにウェブサイトのアドレスを記載することから始めます。例えば、会社案内資料、便箋、レジ袋、レシート、広告チラシ、船の展示会で配布する資料等といったものが対象となります。次に、アドワーズ広告や、Google/Yahoo!のスポンサーリンクを利用して、ネット広告を打ち出します。また、Eメールをつうじた販促活動も検討します。具体的には自社の商品に関心を持つと思われる顧客のリストを作成して、彼らにメールを送ると言うものですが、これはコストが非常に安く済むと言うメリットがあります。

 

 

 

ースパムメールを送ると言うことですか?これには2つの問題があります。まず、そのようなメールは受信者のフィルターにかけられて自動的に削除されてしまう可能性があると言う高いと言うこと。そして、たとえ自動的に削除されなかったとしても、受信者は一般的にこの手のメールを非常に嫌がると言うことです。したがって、スパムメールを送信すると言うアイディアは、クライアントにとって有害無益と言っても良いでしょう。

 

 もちろん、受信者側の意思を無視して我々から一方的にメールを送りつけるのではありません。あらかじめ、広告や特別イベントに関する情報をメールで送信してほしいか否かを確認してからのものとします。

 

 

 

ー分りました。他には、何かアイディアがありますか?

  

 他には、すいません。新しいアイディアを思いつきません。

 

 

 

 

ー何もないのですか?

 

 

 

 

 他の有名なマリン用品メーカーのウェブサイト上に、クライアントのウェブサイトへのリンクを貼り付けてもらうよう依頼する事は考えられないでしょうか。例えば、ある顧客がヘリーハンセンのウェブページにアクセスした際に、彼らが探している商品を我々が販売していることがわかるといった具合です。

 

 

 

 

ー私が求めていたのは、「カタログ販売」と言う言葉です。昨年度、顧客のもとに送付されたカタログの数は前年度比で5.5%増加して約100億冊に達していると言う事実と、カタログ販売は、顧客を自社のウェブサイトに呼び込む最善の手段として認識されていると言うことをあなたはご存知ですか?また、米国の高級下着メーカーであるビクトリアシークレットは、昨年4億冊ものカタログを顧客に送付して、インターネット販売の売上高を10%伸ばしましたが、これは店舗売上の成長率4%を倍以上上回るには事であったと言うことをあなたは知っていましたか?

 

 

 

 カタログ販売ですか。

 

 

 

ーそうです。カタログ販売です。クライアントがカタログ販売を行った場合の予測については、すでに私の方でリサーチを行っています。例えば、クライアントが1,000,000冊のカタログを送付する場合には、顧客リストの作成からカタログのデザイン、製本、郵送にかかる費用全て含めて、1冊あたり125円のコストかかります。カタログを5,000,000冊送付する場合には、1冊あたりのコストは100円になり、10,000,000冊送付する場合には単価が50円となります。

 

ー表の1番右の列に記載されている数値は、カタログ販売を行った場合に、クライアントの売上高がどれぐらい成長するかを示しています。これは、カタログ販売を行わなかったとしても達成できる5%と、カタログ販売による売上高の増加が貢献する部分とで構成されています。この表に記載されている数値は、来年1年間のみならず、第2年度から第5年度までも同様に当てはまると仮定してください。この場合、あなたの見解はどうなりますか?

 

 

 いくつか思いついた点があります。まず、カタログを1,000,000冊送付する場合は、売上高を2%増加させる効果がありますが、24億円の2%と言う事は48,000,000円になります。つまり、1億2500万円のコストを投じながら、48,000,000円の増収効果しか見込めないと言うことです。次に、カタログを5,000,000冊送付すると言う案はあり得ません。なぜなら我々は同じコストで10,000,000冊のカタログを送付することができるからです。24億円の7%と言う事は、1億6800万円の増収効果が働くことになります。

 

 

ークライアントが10,000,000冊のカタログを送付することに決めた場合、どのような効果が生じるかを計算してください。具体的には、カタログ販売を行わない場合の売上高、カタログ販売を行った場合の売上高、そして、カタログ販売を行った場合の売上高からカタログ販売に係るコストを差し引いた、ネットベースでの売上高、の3つを比較する表を作成してください。計算するのは第1年度から第5年度までで、現在(第0年度)の売上高は24億円であると仮定してください。

 

 

 計算するための時間を少しいただけますか?

 

 

 

ーもちろんです。

 

 

(約4分間で、計算と次の表を作成する)

 

 この表からわかる事は、カタログのコストを差し引いたネットベースでの売上高を考えた場合、第二年度まではカタログ販売がないケースの売上高を下回りますが、第3年度からはネットベースでも売上高が0.9億円上回るようになり、第5年度には6.7億円まで差が広がっていきます。クライアントはオーナー企業なので、第1年度と第2年度の売上高がネットベースでは減少してしまうことに関して、一般投資家からうるさく言われるようなこともありません。以上を考えると、カタログ販売は非常に良いアイディアであると思われます。

 

 

ー分りました。ケースをまとめてください。

 

 

 我々のクライアントは国内に10店舗を構える年商24億円のマリン用品販売販業者であり、新しく開発したウェブサイトに顧客を呼び込むことによって、売上高を伸ばすための方法を模索しています。具体的な案としては、あらゆる印刷物にウェブサイトのアドレスを記載することや、アドワーズ広告、スポンサーリンクを活用したネット広告の掲載などが考えられる事と示しました。しかしながら、最も効果が望めるのは、年間10,000,000冊のカタログを作成して、それを顧客に送付すると言うアイディアです。これによって、売上高を年率7%押し上げる効果が見込まれます。カタログのコストを差し引いたネットベースの売上高は、初年度で3.3億円、第2年度で1.4億円の減収となってしまいますが、第3年度からは0.9億円の増収となり、第4年度は3.6億円、第5年度は6.7億円の増収効果が期待できます。また、クライアントはオーナー企業なので、初年度と第2年度が減収になってしまうことについて大きく心配する必要もありません。

 

 

ー結構です。

 

 

 

 

以上、回答例となります。

今回は、ケースのタイプ的には、売り上げ増加シナリオ、利益増加シナリオ、ナンバーケースでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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