【戦略コンサル対策】ケース例題11:ワールド・スペースライン社_宇宙旅行サービスの販売戦略

【結論】宇宙旅行サービスの販売戦略について回答例がわかる。

ケース例題11:ワールド・スペースライン社は、ロケットエンジンを搭載した宇宙船を開発した。この宇宙船は、通常の飛行機と同様のどっち着陸が可能だが、大気圏の中を飛行し、地球の周囲を軌道することができる。ワールド・スペースラインが販売しようとしているのは、3時間の宇宙旅行サービスである。彼らはすでに第一機目を完成させようとしているが、その開発費に500億円を投じた。今後新たに宇宙船を開発するためには、1機あたり100億円のコストがかかると見込まれている。

以下の点について、あなたの考えを示してほしい。

  • 日本国内の市場規模はどれくらいか?
  • 宇宙旅行のチケットを1枚をいくらで販売すれば良いか?
  • ワールド・スペースラインは、今後、何機の宇宙船を製造すべきか?
  • ワールド・スペースラインは、他社に販売するための宇宙船を製造するべきか?

 

 

【ケース回答例

 問題の内容を確認させてください。 ワールド・スペース来院者は、通常の飛行機と同じように離着陸ができる宇宙船を開発し、3時間の宇宙旅行サービスを販売しようと思っているのですね。

 

ーはい。

 

 私に求められているのは、宇宙旅行サービスに対する日本国内の市場規模を推定することと、旅行チケットの設定をいくらにするか、何機の宇宙船を開発すべきか、他社に販売するための宇宙船を製造すべきかと言う点に対する考えを示すと言うことでよろしいでしょうか?

 

ーその通りです。

 

 クライアントの主な目的は、この事業で大きな利益を得ることと思いますが、これ以外に、私が頭に入れておかなければならない目的はありますか?

 

ーはい。ワールド・スペースラインは、宇宙空間にホテルを建設する最初の企業になることを望んでいます。

 

 現在、クライアントと競合している企業が存在しますか?

 

ーいいえ。

 

 クライアントは、自社の技術に特許を取得していますか?

 

ーはい。

 

 他社がクライアントの特許技術を使用することができるようになり、クライアントと競合するまでには、どれくらいの期間がありますか?

 

ー3年です。

 

 宇宙船はどれぐらいの大きさでしょうか?一機の収容客数は何人ですか?

 

ー100人です。

 

 宇宙旅行サービスは、1日に何回行われるのでしょうか?

 

ー1日に2回、年間360日の営業予定しています。

 

 国内の市場規模を推定する前に、まず旅行チケットの値段をいくらにするかを決める必要があります。なぜなら、市場規模は、チケット値段によって左右されるからです。例えば、チケットが1枚100円であれば、市場規模はほぼ日本国民全員に相当する巨大なものになりますし、逆にチケットが1枚1億円であれば、市場はずっと小さなものになります。

 また、チケットの値段を決める前に、乗客一人当たりにかかるコストを算出する必要があるので、クライアントのコスト構造について、いくつかの仮説を立てていきます。宇宙船の耐用年数はどれくらいでしょうか?

 

ー20年です。宇宙船の製造にかかったコストは、耐用年数の20年間にわたって均等に償却していくことが可能です。クライアントに発生する主なコストには、どのようなものがあると思いますか?

 

 主なコストは、宇宙船の製造コスト、乗客と治療スタッフの双方含む人件費、メンテナンス費用、燃料費、空港使用料、保険費用、マーケティング費用といったところではないかと思います。

 

ー良いでしょう。ほとんどのことについては、私から情報与えますが、燃料費についてはあなた自身で考えてほしいと思います。宇宙船は1マイルあたり10ガロンの燃費を消費し、燃料費は1ガロンあたり1000円であると仮定してください。

 

 宇宙旅行の飛行距離と飛行高度はどれくらいでしょうか?

 

ー地球の大気は約300枚の厚さがありますが、その大部分は、地表から10マイル以内に存在しています。体験には厳密な境界線はなく、徐々に大気の成分が薄くなっていき、最後には外部空間(外見)と一体化すると言う感じです。さらに、宇宙船が地球の周りを周回している時と、高度を下げていくときには、燃料はほとんど使いません。以上勘案すると、1回の旅行で宇宙船が飛行する距離は500マイルになります。

 

 1マイルあたり10ガロンの燃料を使い、旅行1回の飛行距離が500マイルですから、1回の旅行で使用する燃料は5000ガロンになります。これに1ガロンのあたりの燃料費1000円をかけると、旅行1回あたりの燃料費は5,000,000円になります。1日の旅行回数は2回、営業日数は年間360日ですから、1日10,000,000円となり、これに360日をかければ、年間の燃料費は36億円になります。これと、先ほど渡していただいた他のコスト情報まとめると次のようになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 以上より、クライアントに発生する年間総コストは72億円になります。乗客一人当たりのコストを求めるには、年間の乗客数で割る必要がありますが、年間の旅行回数が720回(360日 × 2回)

、旅行1階あたりの乗客数100人と仮定すると、年間の乗客数は72,000人です。したがって、乗客一人当たりのコストは、72億円÷ 72,000人 = 100,000円と言うことになります.

ー結構です。あなたなら、旅行チケット1枚の値段いくらにしますか?

 価格の設定の方法には、①競合品との比較による価格設定、②コストベースの価格設定、③価値ベースの価格設定の3つがあります。このケースではクライアントと競合する企業が存在しないので、競合品との比較による価格設定は適用できません。仮に他のサービスと比較するとすれば、後から海外旅行の値段と言うことになるかもしれませんが、この対比にはちょっと無理があると思います。

 次にコストベースの価格設定ですが、乗客一人当たりのコストは100,000円であり、仮にチケットの値段はその2倍の20前に設定するとすれば、得られる利益は十分大きなものとなるでしょう。しかし、これは極めて特殊な旅行であると言う点を考慮する必要があります。ごく限られたエリートの宇宙飛行士を除いて、今まで誰も行ったことがない場所、そして、旅行好きの人のみならず、誰もが思いをはせたことがある場所に行くことができる体験なのですから、価値ベースの価格設定を行うことが最も正しい選択だと私は思います。

ーなるほど。それでは、いくらの価格を設定するのですか?

 まず、チケット値段を1枚 1,000,000円で販売するとしたら、どれくらいの市場規模になるかを試算してみたいと思います。日本の総人口1億2000万人として、全人口ののうち2%の人は年間1,000,000円を余暇に費やすだけの収入が十分にあると仮定します。すると、120 × 2% = 2,400,000人の人がチケットを購入するための十分な収入を得ていることになり、このうち約40%の人が実際にチケット購入したいと思っていると仮定すると、潜在的な顧客数は960,000人=約1,000,000人と言うことになります。

 新しい宇宙船を製造するには、どれくらいの期間が必要でしょうか?

ー今後生産する宇宙船は、製造に6ヶ月を要します。

 クライアントは現在の宇宙船を保有しており、需要は約14年分埋まっています(1,000,000人÷ 72,000人)。これを考えると、少なくとも特許が切れるまでの向こう3年間は、できるだけ多くの宇宙船を製造して、3年後の競争状況がどうなるかを見極めてから、改めて製造すべき機数を考えれば良いのではないかと思います。

ー本当ですか?私には、あなたの考えが少し大雑把だと感じられるんですが。今あなたが言ったことを表にまとめてみてください。

 はい。以下の通りとなります。

 

 第3年度末時点においては、運行可能な宇宙船が6機あり、乗客数の累計は756,000人になりますが、これは私が試算した1,000,000人と言う市場規模までまだ余裕があります。しかしながら、第4年度末になると、新しい宇宙船を作らなくても、乗客数の累計は約1,200,000人となり、第5年度末時点には、1,600,000人にまで達します。この時、クライアントは2つの対応策をとることができると思います。まず、チケットの価格を1枚500,000円に値下げすれば、より多くの需要を喚起することができるでしょう。次に、クライアントには、宇宙空間にホテルを建設すると言う目的もあり、第4年度末までにそれが完成していると仮定すれば、宿泊客の送り迎えをするシャトル船が必要となります。たとえホテルが完成していなかったとしても、新たな需要が発生して、我々の宇宙船に空席が生じるような事はないと思います。例えば、口コミが広がることによって、国内だけではなく、海外からも大きな需要が創出されるのではないでしょうか。

 ただし、その頃にはクライアントの特許期間が消滅してしまうので、他社との競争が生じることも想定しておかなければなりません。

ーその通りです。この問題における最後の質問は、クライアントが他社に販売するための宇宙船を製造すべきか否かと言う点についてでした。

 1機目の宇宙船から得られる売上高は、1,000,000円× 72,000人= 720億円であり、ここからコストの72億円差し引くと、年間の利益は648億円になります。新しい宇宙機の製造には1機当たり100億円のコストはかかりますが、年間の償却費は一機目よりも20億円削減されることになります。すると、2機目以降の宇宙船から得られる年間の利益は、648億に20億円を足した668億円になります。この点を考慮すると、他社のために宇宙船を製造して販売すると言う考えは、現実的ではないと思われます。年間に668億円の利益を生むような宇宙船であれば、その販売価格は2000億円前後(3年分の利益に相当する額)といったような金額になるでしょうが、このような莫大な金額を他社が支払うとはとても思えません。

 このケースに対する私の回答を求めたいと思います。まず、国内の市場規模は、チケットの販売価格を1,000,000円に設定した場合、約1,000,000人と推定されます。仮に、チケットの値段を500,000円まで値下げすれば、潜在的な顧客数はさらに急増するでしょう。宇宙船の製造機数については、向こう3年はできるだけ多くの宇宙船を作って、その後どうするかは、将来の競争状況や、宇宙ホテルの建設状況に応じて再検討することとします。最後に、他社に販売するための宇宙船を製造すると言う案は、採用すべきではないと考えます。

 

 

以上、回答例となります。

今回は、ケースのタイプ的には、マーケット・サイジング、価格戦略シナリオでした。

 

それでは。

 

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引用・編集:『戦略コンサルティングファームの面接試験 難関突破のための傾向と対策』

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